確か電車の中に広告が出ていて、そしてその後に入った本屋さんに並んでいて手にしたのが買ったきっかけ。ただ、買ってからしばらく空いてしまったので、そこまで内容を期待していたか?というと、大変失礼ではありますが、そうでもなかったですね。前評判ですとか、あらすじ等もまったく見ずに買ったので・・・
前提としてですが、私が本を読む環境は、圧倒的に電車の中が多いです。なんたって通勤時間がありえない程長いので・・・で、そこを念頭に置いていただいて以下をどうぞ。
正直ベースでお話すると、前述の通り何も知らない状況で読み始めたので、最初の60p位までは本の世界の設定についていく事が出来ず、若干置いてきぼりの状況。
「あ、これハズレかな?」
と思ってしまいました。
が、
その後は、感情を揺さぶられ、涙を我慢する事が精いっぱいでかなり苦労しました(笑)電車の中で本を読んで泣いているおっさん。あまり綺麗な絵ではありませんので。
ネタバレ極力避けつつ書きますが、
とある喫茶店のある席に座ると、思い通りの時間にタイムスリップができる。ただしそれには遵守しなければいけないルールがある。
1.過去に戻っても、この喫茶店を訪れた事のない人には会う事はできない
2.過去に戻って、どんな努力をしても現実は変わらない
3.過去に戻れる席には先客(幽霊)がいる。その席に座れるのは、その先客が席を立った時だけ
4.過去に戻っても、席を立って移動する事はできない
5.過去に戻れるのは、コーヒーをカップに注いでからそのコーヒーが冷めてしまうまでの間だけ
このルールに縛られる刹那の時間に行われる時間旅行。その中で繰り広げられる「恋人」「夫婦」「姉妹」「親子」それぞれの人間模様。
そして、過去に戻りどんな努力をしても(厳密に言えば、過去に戻っても席から離れる事が出来ないので、努力は席の上でできる事に留まりますが・・・)現実は変えられないものの、「知る」事で変えられる未来がある。
そんな登場人物の心の「変化」に涙を禁じえませんでした。
尚、巻末に、
本作の元となった舞台、1110プロヂュース公演「コーヒーが冷めないうちに」で、第10回杉並公演演劇祭大賞を受賞された
という記載を見つけましたが、これは舞台が原作なんですかね?
そう言われると、最初の60p位が若干理解できなかった事(上手く説明できませんが、舞台ですと始まりの方では観客に対し「???」という疑問を持ってもらい、その後の進展で「???」を「あ~なるほど!」に変える演出がありますね。その起承転結の流れが、本のそれとは若干異なっていたかな?と思いました)も理解できた気がします。
また、舞台が原作の本が故にかもしれませんが、紙に起こす=文字に起こすと、結構話がシンプルにスッと入ってきますので、60p以降はスムーズに読む事が出来ました。
今回のまとめ
さてさて、
電車内の広告を目の端で捉え本屋さんで思い出し、ある意味ジャケ買いの様に縁があった本でしたが、出会えて本当によかったです。直前に読んでいた本が結構登場人物が多くて大変だった事もあり、そのギャップもこの本の読後の印象を高めてくれました。
読んだタイミングも良かった!
もしご興味があればお手に取ってみて下さい。くれぐれも公の場所で読む事なくエアコンの効いた環境で、可能であれば一人で読んで頂くのがよろしいかと思います。
次はどんな作品に出会える事やら・・・楽しみですね!
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