本のレビュー

おススメの漫画を二つ


2つ漫画を紹介させて下さい

2つ、おススメの漫画を紹介させて下さい。

1.GUNSLINGER GIRL(ガンスリンガーガール)

2.マージナル・オペレーション

この2つです。

共通するのは「子供」が「銃を持って戦う」という事です。

これだけで、一部の方(あるいは多数の方)が不快感を持ってしまうかもしれませんがお付き合いいただければ幸いです。

ちなみに

本当は、ヨルムンガンドを加えても良かったのですが・・・こちらは、大人もかなりいるので割愛します。ヨルムンガンド、アニメにもなりましたがこちらも色々と考えさせられる内容でおススメです。

GUNSLINGER GIRL(ガンスリンガーガール)

概要

イタリアを舞台に、さまざまな理由により生身で生きていく事が出来なくなった少女の体を改造・洗脳し、殺し屋として利用する政府直下の対テロ組織「社会福祉公社」と、テロ組織である「五共和国派」との戦いを描いた物語。

少女の体を改造するといっても、所謂、体の一部の器官を銃器化するといった類のものではなく、身体能力を大幅に向上させ、銃器と近接戦闘による戦いを描いている。

読んでほしい理由

100%バーチャルな設定による社会福祉公社と五共和国派の対立を描いているのではなく、実際のイタリアでも問題になっている「南北の経済格差を背景とした北部の独立運動」を軸に据えた上で、政党主導の世論操作、未来の無い子供を超法規的な措置で身体に改造を行い対テロ活動に投じる闇などが大きなテーマになっています。

要は、政府側、テロ組織側双方の登場人物すべてに、どこか許されない行為があります(最近はITの発展により、イタリアの南北問題も幾分是正されているというお話もありますね)。

私の気質にもよるのですが、昔からはっきりとした正義と悪の対立があまり好きではありませんでした。だって物事はそんなに単純じゃないでしょう?と。単純に割り切れないからこそ争いが生じる訳で。

また現実の戦争は意外と「おカネ」という判断基準を据えて考えると、スルっと紐が解ける事も多いですが、「漫画」や「小説」においては、個人的には物語の設定や登場人物の背景が如何に現実に近しく設定されているかで、ハマる/ハマらない、が大きく左右されると思っています。

ガンスリンガーガールは、身体改造を施された少女という道具(武器)に対して割り切れない思いを抱きつつも、五共和国派に人生をめちゃくちゃにされた大人達の物語も非常に深く書かれており、この点についても非常に面白いので是非多くのみなさんに読んでいただきたいと思い、ご紹介させていただきました。

ガンスリンガーガールのレビューの中で、フィクションとはいえ「少女」を「道具」として戦わせるという事そのものが、公序良俗に反するとしてNGとする意見があります。

この意見に対し「本当に中身を読んだのか?」とか、「主旨が分かっていない!」といった反論もありましたが、私はそうは思いません。

物語と現実を自己の解釈でごっちゃにしない事が重要かなと思います。

ガンスリンガーガールは完結していますので、安心して読めます。終わり方も私は大好きでした。ありがとう!!

 

マージナルオペレーション

概要

ニートの青年が一念発起して就職した先は民間の傭兵会社。そこで、訓練と称してシミュレーションゲームの様な画面を使い敵を倒す教育を受けるが、実はそれは実際の人と人との戦闘を電子媒体を通じて指揮していたのだった。

自分がゲーム感覚で倒していた敵が、実際は生身の人間である事に苦悩する反面、周囲は戦闘を指揮する才能が彼にある事を認め始める。また、自分の指揮していた部隊に、周囲の部落から集められた少年・少女達がいる事を知り、その苦悩はより深い物になっていくのだった。

その後、周囲の部落や雇われ先の民間傭兵会社を巻き込む事件を経て、民間傭兵会社を去ることになるが、彼の横には、子供たちが銃を持つ事を望まない一人の大人。そして部落から追放される事となった子供たちがいた。

子供たちを危険にさらす事に深い葛藤があるものの、生きる手段として傭兵稼業を続ける事になった青年。割り切れない思いを胸に秘めた戦いが新たに幕をあげた瞬間であった。

読んでほしい理由

なんだか概要がナレーション風ですが・・・

マージナルオペレーションも今回の紹介する作品のテーマである、子供が銃を持って戦うお話です。ガンスリンガーガールとの大きな違いとしては、子供に少年が含まれている事。そして、子供たちは普通の生身の人間である事でしょうか。

世界の紛争を見て見ても本人の意思によらず少年兵として戦闘に参加し、命を落とすという例は決して珍しいものではありません。この様な状況に子供たちが置かれている事に対し社会の関心を引き出すために、毎年2月12日はレッドハントデーに設定されています。(レッドハンドデーは、国連総会で採択された武力紛争における児童の関与に関する児童の権利に関する条約の選択議定書 (Optional Protocol to the Convention on the Rights of the Child on the involvement of children in armed conflicts) )が2002年2月12日に発効された事で、この日より開始)。

子供たちが銃を手にしない環境で健やかに過ごして欲しいと願う青年が、子供たち、そして自分が生きるための手段として子供たちを使い傭兵稼業を行う。この葛藤と、子供たちの成長が面白く、また物語の登場人物もどこか憎めない方が多いのが特徴でしょうか。

もちろんこれは子供たちにも言える事で、民間の傭兵会社にいたころは、ろくな戦闘訓練も受けず、毎日減っていく仲間の中で生きる希望も何もかも持てない状況でしたが、傭兵会社から抜け心優しい青年と行動を共にする中で、表情が豊かになったり個々で興味のある事に差が出たりと、ほほえましく成長していきます。

漫画の中ではこの様な状況ですが、やはり物事はそのようにうまくは行かず、世界には少年兵として戦闘行為に参加されられる子供もいて、外の環境を知ることなく亡くなっていく事実があり、その問題の解決が解決していないもどかしさ、そんな事を気づかせてくれた作品でした。

漫画的な事を言えば、ガンスリンガーガールと比べると戦闘シーンが現代のIT化された戦争に近しい形で書かれており、この点が私は非常に面白いと思いました。戦術単位を小さく分けるとか、カッコイイでしょ?

この物語は完結してません(2021年01月現在)。マンガも楽しいですが、原作小説もおススメです!

 

今回のまとめ

世の中、そんなに善悪、白黒で割り切れるものではない、という事が少し私生活にあった事と、子供と銃という共通点でつながった物語を紹介させていただきました。ガンスリンガーガールは完結していますので、一気に読むことも可能ですし、マージナルオペレーションは最新刊の6巻が発売されたばかりです。

よろしければお試し下さい。


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